「被害からの回復」に関する犯罪被害者調査-オンライン調査の結果報告書
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刑事裁判における損害賠償命令制度を利用したという回答は、全体の25名(4.9%)であった。被害種別では、〈性被害〉2名、〈交通被害〉13名、〈暴力被害〉5名、〈殺人等被害〉2名、〈その他の被害〉3名であった。損害賠償命令制度を利用した者25名に、同制度の利用が満足いくものであったかを尋ねたところ、「満足した」9名(36.0%)、「満足しなかった」8名(32.0%)、「どちらでもない」8名(32.0%)であった。被害種別では、〈暴力被害〉において「満足しなかった」という回答が「満足した」を上回っていた。「満足した」「満足しなかった」と回答した者に、その理由を尋ねたところ、「満足した」理由は、「納得できるわけではないが、当然の権利だと思うから」「賠償金の全額回収は困難だが、過去・現在に加害者が取材謝礼としてマスコミから受取る報酬を抑えられたから」といった点が挙がった。一方、「満足しなかった」理由としては、「叔母にも損害賠償が認められる判例を作りたかったが、できなかった」「命令した後1円も支払われていない。意味なし」といったことが挙がった。更生保護における意見等聴取制度を利用したという回答は、全体の16名(3.2%)であった。被害種別では、〈ストーカー被害〉1名、〈交通被害〉7名、〈暴力被害〉4名、〈殺人等被害〉4名であった。利用しなかった者は多い順に、「制度を知らなかった」65名、「対象事件ではなかった」49名、「制度がまだなかった」14名であった。意見等聴取取制度を利用した者16名に、同制度の利用が満足いくものであったかを尋ねたところ、「満足した」5名(31.3%)、「満足しなかった」6名(37.5%)、「どちらでもない」5名(31.3%)であった。被害種別では、〈暴力被害〉、〈殺人等被害〉において「満足しなかった」との回答が「満足した」を上回っていた。「満足した」「満足しなかった」と回答した者に、その理由を尋ねたところ、「満足した」理由は、「遺族の思いを伝えたこと、保護観察所の対応が良かったこと」「刑期を短縮していいかときかれて、我々の心理を逆なでするものであると述べて、満期まで刑期を続けさせた」「結果はどうであれ、気持ちを伝えることは出来た」といったことが挙がった。一方、「満足しなかった」理由としては、「謝罪文はもらいましたが、何も謝罪文の内容が実行されなかったから」「仮出所するなら賠償金を払えと言ったが、満期出所になった」「パフォーマンスにすぎない」「仮釈放を認めないと伝えても結局は仮釈放された」「仮出所が決まっていて形だけのように、感じたから」といったことが挙がった。心情等伝達制度を利用したという回答は、全体の8名(1.6%)であった。被害種別では、〈性被害〉2名、〈交通被害〉3名、〈暴力被害〉1名、〈殺人等被害〉1名、〈その他の被害〉1名であった。心情等伝達制度の利用について、「満足した」3名(37.5%)、「満足しなかった」3名(37.5%)、「どちらでもない」2名(25.0%)であった。「満足した」「満足しなかった」と回答した者に、その理由を尋ねたところ、「満足した」理由としては、― 33 ―13.損害賠償命令制度の利用14.意見等聴取制度の利用15.心情等伝達制度の利用

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