「被害からの回復」に関する犯罪被害者調査-オンライン調査の結果報告書
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被害にあってから今までを振り返って自分の中に生じた「変化」について、自由記述してもらった。〈性被害〉、〈交通被害〉、〈殺人等被害〉において、PTG得点の低い(各被害種別の平均値より低い)群とPTG 得点の高い(各被害種別の平均値より高い)群に分け、主な自由記述をまとめたのが表22である。被害種別による特有の苦しみ、怒り、不信感などの記述が見られた一方で、PTG得点の高い群ではポジティヴな心境の変化も読み取ることができた。表22.被害後から今までを振り返って自分の中に生じた「変化」について(オープン調査の回答)警察に対する印象は変わった。カウンセリングで救ってくれて、給付金の手続きまで親身にやってくれて被害のことを覚えていてくれる警察官がいてくれることを知った男性と積極的に関わることができなくなった。電車に乗るのが大変になった。自傷行為や食生活が安定しないなど、体調の波が出るようになった別人のように暗く執念深く情けない人間になってしまいました。明るく優しく、幸せに生きたかったのに、現実の端々で感じ方の違いから、もう私は犯罪被害者なのだと、戻れないのだと思い知らされます。社会への不信感が決定的に根付きました。病院、役所や公的機関も大嫌いですし怖くおぞましいです。税金はもう一銭も払いたくなくなりました。犯罪者同様私を苦しめる悪に思えます。男性が気持ち悪く、すれ違うだけでパニックを起こすようになりました(後略)自分が無価値であると感じ、何をするにも自信をもてなくなった。他人を信頼することが苦手になった〈性被害〉加害者に対しての憎しみが自分を奮い立たせる原動力になった時もあれば、自分の感情を受け入れてコントロールする力がついたと思う時もあれば、そのように思うしかやってこれなかったのだと思います仕事を休むことが多くなり、憂鬱な時間も多く、友人たちから心ない言葉を受けてしまい距離ができ人間関係が変化してしまった。新しい友人はできたが、職場との関係も変質し、まだ解決の糸口が見えていない。生活するのがやっとであるPTG得点の低い群人間の良い面悪い面を目の当たりにした。自分を支えてくれた沢山の人が居るように、私も人を支えたいと強く思った。人を安易に信じることへの反省、特に男性がとても怖くて信じられない○歳(10代前半)で被害にあったが、子供を騙すような大人が存在することを知った。今になって自分以外にも同じように被害にあって苦しんでいる人がかなりいることをSNSを通して知って、傷ついた人の助けになりたいと思うようになったことが大きな変化だと思う小学〇年(低学年)の時に友達と知らない男性から口腔性交の被害にあいました。もともと引っ込み思案でしたがその傾向が深まったと思います。その経験があったから10代から良い友人や今の家族とも出会えたところもあるし、これから性暴力をなくしていくために何かしたいという原動力にはなっていると思います生命の大切さを学び、病気や事件など自分の知らない世界にも触れ勉強し、自分自身を知り見つめ直し、人に対してやいろいろなことに興味を持つようになったPTG得点の高い群― 49 ―22.被害後に生じた「変化」(表22)

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