「被害からの回復」に関する犯罪被害者調査-オンライン調査の結果報告書
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• 周囲の人からの言動で傷ついたと感じることはあったか(二次被害)について、「非常に強く感じた/かなり感じた/感じた」で過半数を占め、「あまり感じなかった/感じなかった」48.4%(図22)。• 二次被害を「感じなかった」割合は〈交通被害〉で高く、二次被害を「感じた」割合は〈殺人等被害〉>〈暴力被害〉>〈性被害〉の順で高かった(図23)。 事件から5年以内は、それ以上経過した者よりも二次被害の割合はやや高いが、有意差なし。• うつ・不安障害などをスクリーニングすることを目的としたK6尺度を用いたところ、全体の平均値は7.4(±6.6) 〈性被害〉>〈暴力被害〉>〈殺人等被害〉の順で、精神的影響が強く出ている傾向(図52)。 ※K6の値は、5 点以上: 何らかのうつ・不安の問題がある可能性、 10 点以上: うつ・不安障害の疑い、13 点以上: 重度のうつ・不安障害の疑い• 危機的な出来事の後に生じることのあるポジティヴな心理的変容の体験(心的外傷後成長 以下、 PTG)について、外傷後成長尺度(短縮版)を用いたところ(総得点範囲は0から50点)、全体の平均点は18.6だった。5つの下位項目「他者との関係」、「新たな可能性」、「人間としての強さ」、「精神的変容」、「価値観の変容」を見ると、全体では「価値観の変容」で最もPTGが高かった(図 48)。PTG が最も高かったのは〈殺人等被害〉で、低かったのは〈暴力被害〉〈性被害〉(図49)。• PTGの下位項目の平均点について、〈殺人等被害〉では「価値観の変容」、「精神的変容」「人間としての強さ」の項目で、他の被害種別に比べかなり高い点数であった。〈暴力被害〉、〈性被害〉 ではいずれの項目も低い傾向(図50)。• 刑事裁判(少年審判)を経験した者に PTG の平均値が高い傾向(図51)。• 被害後の変化について、PTGが高い者にはポジティヴな心境の変化がうかがわれた(表22)。• ソーシャル・サポート尺度(短縮版)を用いたところ、「家族のサポート」4.8点、「大切な人のサポート」4.7点、「友人のサポート」4.2点 (図46) 。 〈交通被害〉、〈殺人等被害〉、〈ストーカー被害〉で「家族のサポート」が高く、〈性被害〉、〈DV被害〉では家族よりも「大切な人のサポート」がやや高い傾向(図47)。※ソーシャル・サポートの下位尺度は「家族のサポート」「大切な人のサポート」「友人のサポート」で、項目ごとに平均値を求め得点化し(各項目1点~7点)、得点が高いほどソーシャル・サポートが高いことを意味する。周囲からの二次被害を感じたか現在の精神的状況は? 心的外傷後成長(PTG)は?― 60 ―◆社会とのつながりソーシャル・サポートはあったか

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