福祉のあれこれ

2017年度・「犯罪被害者週間中央イベント」にゼミ生と参加して(2017.12.22)

2017.12.22

 2017年12月1日、警察庁主催の「犯罪被害者週間中央イベント」のパネルディスカッションにゼミ生とともに参加した。

 政府の「犯罪被害者等基本計画」に基づき11月25日から12月1日は犯罪被害者週間として定められ、毎年広報啓発イベントが開かれている。2006年度から始まったこのイベントは「犯罪被害者等が置かれた状況について国民が正しく理解し、国民の協力の下に関係施策が講じられていくよう、国民が犯罪等による被害について考える機会」(警察庁HP 平成29年度イベントについても記載あり)とされている。

 今回は、より一般市民に開かれたイベントにしたいという趣旨で警察庁から依頼があり、ゼミ生と一緒に協力させていただくことになった。秋から数カ月にわたってゼミ生12名と準備を重ねてきた。

 パネルディスカッションのテーマは「途切れることのない支援のために~犯罪被害者に対する中長期的支援の在り方を考える~」。パネリストは、少年犯罪被害者ご遺族の武るり子さん(少年犯罪被害当事者の会代表)、木本克己さん(横浜市市民局人権課・専任職)、佐藤真奈美さん(公益社団法人被害者支援都民センター・犯罪被害相談員)、そして伊藤ゼミ代表(2名)で、私はコーディネーターを務めた。

 具体的にパネルディスカッションでは、①犯罪被害者等に対する生活全般にわたる中長期的支援の必要性、②地方公共団体と民間被害者支援団体の取り組み、③継ぎ目のない支援体制を構築するための連携方策、④一般市民が被害者支援を担うことの必要性などについて、パネリストのそれぞれの立場から報告があり、課題や意見を提示して議論を進めた。

 伊藤ゼミは、ゼミの紹介、武るり子さんによる基調講演を聞いた感想を述べた後、被害者支援の理解を深めることの必要性や、実際に地域で被害者支援を担っていくにはどのようなことが必要になるかについて社会福祉の視点をもとに発表した。発表のパワーポイント・スライドは、ゼミ生みんなで知恵を出し合い作成した。

 学生たちと一緒に、こうした重要な公の場に出るのは初めてのことであり、滞りなく進むか心配したが、思いのほか学生たちは堂々としていたように思う。パネルディスカッションが終わって、「若い人の声があってよかった」「大学生らしくハキハキしていた」などと声をかけていただいた。参加した学生たちがこの経験を大事にして、社会に出てからも被害者支援の輪を広げていく側に立ってほしいと思っている。

 中央イベントの実施は今年で12回目であるが、犯罪被害者週間やそれに伴うイベントが世の中に十分に浸透しているとはまだ言い難い。こうした企画をさらに発展・継続して、被害者支援が誰にとっても身近なものとなることを願っている。

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