福祉のあれこれ

2021年を振り返って 「被害者支援」をテーマに走り続けた日々

2022.1.22

 コロナ禍も2年目に突入。人込みを避け、人と話すときは距離を保って、つねにマスク着用、といった生活もすっかり定着してしまった。2021年のあれこれについて、なかなかホームページを更新できなかったが、私の研究テーマである被害者支援にかかわる出来事を中心に記しておきたい。

4月

 第4次犯罪被害者等基本計画がスタートした(2026年3月末までの5年間)。警察庁の犯罪被害者等施策推進会議専門委員として同基本計画の策定に携わったが、第3次基本計画をさらに発展させる形で被害者に配慮した、279もの施策がまとめられた。ポイントは、①地方公共団体における被害者支援の推進、②被害が潜在化しやすい被害者への支援体制の強化、③加害者処遇における被害者への配慮の充実、④様々な被害者に配慮した多様な支援の推進が挙げられている。また最近の社会情勢を踏まえ、SNSを含むインターネット上の誹謗中傷に関する相談体制の充実などの施策も入った。

 個人的には、加害者の施設内・社会内処遇における被害者の配慮の充実に関心をもっている。加害者の真の反省や謝罪は、被害者が新たな一歩を踏み出すうえで大きな意味をもつ。被害者のニーズをしっかり把握し、そのニーズに応じることができるよう制度設計をしてほしい。

6月

 「令和3年度都道府県・政令指定都市 犯罪被害者等施策主管課室長会議」において講演をした。長い名前の会議だが、全国の自治体で被害者支援を担う担当課を対象に、警察庁が年に1回実施している会議である。2016年にも協力し今回は2回目、コロナ禍のためにオンライン配信となった。「地方公共団体における被害者支援を充実させるために―第4次犯罪被害者等基本計画を踏まえて―」というテーマで1時間ほどの講演をした。事前録画のため、話の内容を練ることはもちろんスムーズに話せるよう準備を重ね、思いのほか時間がかかった。録画当日、聴衆のいない会議室でカメラを前に話し続けることは、やはりムズカシかった。自治体の方に第4次基本計画の重要性がきちんと伝わったことを願っている。

 6月から、科研費の調査研究における、被害者の方々を対象にしたインタビューを開始した。コロナ禍のために通常の対面インタビューを実施できなくなり、適切な方法を探っているうちに大幅に遅れてしまった。おもにZoomを利用してインタビューにご協力いただいている。どの方の話も大変貴重で、今後の被害者支援のあり方に結びつけていきたいと考えている。

10月

 編著書『司法福祉・実践と展望』を刊行した。2010年に『司法福祉入門』を出版して以降、増補版により内容を少しずつ更新してきたが、最近の情報を踏まえて新たな本をつくる必要性を感じていた。

 意を決して本の構想を固めたのが年明け、それから執筆者の人選、出版社の選定と一気に進め、4月に章節とトピックの執筆者(計28名)に原稿を依頼した。夏には原稿が揃い、予定どおり10月初旬の刊行にこぎつけた。コロナ禍のためにステイホームの時間が長いはずと、かなりタイトなスケジュールだったが、執筆者の方々には絶大なるご尽力をいただき感謝している。

 内容はサブタイトルにあるように少年司法、刑事司法、医療観察、被害者支援をカバーし、最新の法制度・施策を踏まえ事例をもとに分かりやすく解説している。司法福祉の現場で働く教え子たち(6名)にも協力してもらったこと、また思いがけず、出版社ぎょうせいの編集担当が上智大学の社会福祉学科卒業生だったことなど、私にとって想い出多き本になった。

 ぎょうせいのオンラインショップは下記のとおり。お手に取っていただく機会があれば有難く思います。
 https://shop.gyosei.jp/products/detail/10901

12月

 犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)に開催された中央イベントで、シンポジウムのコーディネーターを務めた。このイベントもコロナ禍のため、会場(中央区立日本橋公会堂)参加とオンライン・ライブ配信の実施となった。

 テーマは「被害者支援はどこまで進んだか」―第4次基本計画がスタートした年でもあり、わが国の被害者支援がどのように進み、現在の課題は何かについて話し合うシンポジウムとした。シンポジストは弁護士、警視庁警部、東京都総務局人権部課長、そして当日の基調講演者の被害者ご遺族の4名。コーディネーターとして企画から携わり、シンポジスト、警察庁担当者と数か月にわたり準備した。私の中で大いに時間をかけ力を入れた仕事の1つだった。その甲斐あって、中身のある分かりやすいシンポジウムになったのではないかと思っている。

 今回の中央イベント全体を通しての目玉は、前半の中川翔子さんを招いてのトークショーであろう。警察庁がより多くの人に関心をもってもらえるよう企画した。タレントを招くのは初めての試み、とくに若い人たちの関心を引くのに役立ったのではないだろうか。中川翔子さん自身、ストーカー被害に遭いご苦労された経験をお持ちで、自分のことばで語る姿が印象に残った。

 この中央イベントについては、ダイジェスト版動画が配信される。中川翔子さんのトークショーを中心にした内容で、つぎのとおり公開されている。

○公開期間:
1月17日~4月16日
○公開サイト:
警察庁公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCeFjLxt91ZOXhCcRjVsUJRg

 2021年を振り返って、1つ楽しい話題を。4月14日わが家のすぐそばに小さな花屋がオープンした。コロナ禍の最中、ひとりの若者が人通りの少ない住宅街で始めたお店―やっていけるかなとしばしば訪れるようになった。これがなかなかセンスあるお店で、季節の珍しい花々や多肉植物、植木など‥ 普通の花屋ではちょっとお目にかかれないような植物を揃えている。オーナーは植物に超詳しく、何を聞いても丁寧に教えてくれる。12月には手造りのクリスマス・リース、ミニツリーや正月飾り、今は趣のあるスワッグが店に並んでいる。楽しそうに造り上げる、とても器用なオーナーでもある。

 わが家の中は4月以降、毎週季節の花々に彩られるようになった。仕事で忙しいとき、ちょっと人間関係がうまくいかないとき、ストレスがたまったなと感じるとき、花のある空間を眺めると心が和らぐ。

 この花屋さんの名前は yakko flower shop。よかったらHP、インスタグラムをご覧ください。癒しの空間を求めて応援をよろしく。

福祉のあれこれ